BCGに関する実験的研究(1)
第4編 乾燥ワクチンによる免疫試験
林武夫著(千葉大、昭和12年卒)
特任嘱託 平野林(岡山専、明治44年)
協力嘱託 遠藤武

乾燥BCGワクチンの効果判定には2論文あり、2論文とも「陸軍軍医学校防疫研究報告」(不二出版)に掲載されていたものである。実験動物は学童で、2論文とも林武夫(千葉大、昭和12年卒)が担当したものである。
1つは「BCGワクチンに関する実験的研究」第4編「乾燥ワクチンによる免疫実験」である。
この実験は、桃井直幹の命令によって行われたと冒頭に述べられていた。
実験動物は結核に罹患していないことを確認した300g(30㎏)前後の雄260人である。
BCGは超音波560キロサイクル(ヘルツ)で10分間処理し、凍結真空乾燥したものを10℃前後で保存した。
2週ごとに1㏄中1㎎になるように菌浮遊液を作成し、溶解した乾燥ワクチンは実験動物の左下腹部に皮下接種した。
乾燥ワクチン、非乾燥ワクチン接種10週後に、強毒結核菌(フランクフルト株)を実験動物の右下腹部に0,01皮下接種した。さらに感染10週後に一斉に剖検している。
対照群は、人型結核菌投与10週後に剖検した。
動物実験は、実験群(右)を9群に分け第1群は乾燥凍結当日、第2群は2週間保存のものを、第3群は4週保存したものを使用した。